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保育園調理師の「食」ブログ

現役保育園調理師が簡単おやつやご飯の紹介はもちろん、子どもとできる食育活動の紹介もしています。「食」にまつわることの多くを書き綴っていきます。

保育園ではどうしても地位が低くなりがちな給食職員です

保育所とは、「児童福祉法第7条に規定される、児童福祉施設」となります。

親が働いているなど、何らかの理由によって保育を必要とする乳幼児を預かり、保育する施設なのです。

 

保育所では、子どもたちを預かるにあたって専門の勉強を修了した、有資格者の保育士が働いており、保育所にはなくてはならない存在となります。

でも保育所では、私たち給食職員もなくてはならない存在であることはご存知でしょうか?

 

 

保育園はちょっとした階級社会です

はじめに言っておきますが、全ての保育園がそうではありません(;^_^A

ですが、実際に勤めている園で感じることはあるのです。図で例えるのであれば、

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↑こんな感じでしょうか…。

 

園長が頂点であることはどこも同じですし、そのあとに主任、正規職員の保育士がいてパート保育士がサポートしている感じになります。

 

今回見ていただきたいところは「給食職員」の場所です。

保育士が地上(日の当たる場所)にいるとしたら、私たちは地中の日の当たらない場所にこぢんまりと存在しています。私たちはピラミッドの底辺にすらなれないのです。

 

あくまで「主体は子どもと保育士である」と考えている保育士も、実際に存在しており、「あくまで保育園であって、給食園ではないからね。」という会話をされてしまったこともありました。

 

昼ごはんとおやつを作っているだけと思われがち

私たちが、給食やおやつを作っているのは、みんなが知っている仕事です。

 

ですが見えないところでは、栄養士ですと献立作成、発注、棚卸、食数計算、給食費の計算、日報整理、監査用に作成する書類がいくつか…と、事務作業だけでもかなりのことをこなしています。

調理師である私も、小口現金の管理や調理器具のメンテナンス・消毒、冷蔵庫などの掃除、検収作業、翌日使用食材の確認などもおこなっています。

 

こういった陰ながらの仕事があることも知ってもらいたいのです。

 

保育士より心身ともに楽な仕事と軽く見られがち

余裕があるように見られるせいなのか、保育士側からは様々な要求を受けることが多いです。

  • 食育活動の進め方について(給食職員よりも保育士の意見が尊重されがち)
  • 給食の量や味付け(これは私たちが本業として行っていることですが…)
  • 運動会やお遊戯会などへの参加(園職員ですのでここはしっかりお手伝いをします。)
  • 1日数回に及ぶ職員用のお茶の要求(その都度の洗い物は増えるので、マイカップや水筒を持ってきてほしいと思うのが本音です(´;ω;`)
  • 「給食を落としたので1食追加でください」と平気な顔で言われる(給食職員分から分け与えています)

などなど、大小さまざまな要求が各クラスごとにあったりもしますので、いつもずいぶん軽く見られているなとは感じています。(ちょっと愚痴っぽくなってしまいました(*_*;反省)

 

給食調理は体力や、計算、要領・手際の良さなど必要なスキルは必要としますが、保育士の大変さと比べると足元にも及ばないかもしれません。

ですが、私たちも決して楽な仕事をしているわけではありません。1歩間違えれば食べた人が命を落とすことになるかもしれないリスクを常に感じながら、細心の注意を払って調理しているのです。

 

 

ではなぜ調理員の立場は低くなってしまうのか

生命の維持には必要不可欠である『食』。そんな大切な部分にかかわっている私たちが、なぜ地下に追いやられたような思いをするのでしょうか?

 

募集要項

多くの給食調理員の求人では、『無資格者OK』の文字が当たり前の用の羅列しています。無資格者といっても、基本的な料理を作るくらいの知識は必要ですが、要するに「誰でもいいですよ」と言っているようなものなのです。

たいして保育士の求人は、『要保育士免許』とはっきり記載されていますので、有資格者であることが大前提になります。 

 

ここでちょっとした格差は生まれてしまいますよね(>_<)

 

国の基準

 国で決まった保育施設の職員配置の基準というものがあります。

それによりますと、

  • 栄養士の配置基準はなし(栄養士はいなくても良い)
  • 調理員(無資格者で可)は、入所児童の人数に応じて1~3人配置

とされてしまっています。

もちろん各自治体ごとに基準が異なりますので、一概に上記のことは当てはまるわけでもありませんが、国の基準として無資格調理員で良いと定められてしまっている以上、保育園の中では有資格者の保育士と、無資格者の調理員で必然的に格差が生まれやすくなってしまいますね。

 

 

実際に無資格調理員のみで給食運営は可能なのか?

結論から書きますと、不可能です。 
先にも書きましたが、私たちの仕事は食事を作るだけではありません。調理中の食品の取り扱いはもちろん、自身の衛生管理にも気を使わなくてはならないですし、各法律に準じた仕事もこなしているのです。
 

2005年に制定された食育基本法

食育基本法とは、「食に関する正しい知識・適切な食習慣を子どものうちから身につけられるように指導しましょう」という理念が盛り込まれた法律です。

 

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こういった食に難する指導は、大学で一生懸命に勉強して知識を得た、栄養士の得意分野です。

食育=栄養士 は必要であり、保育園では栄養士の設置義務を作るべきではないかと思うのです。

 

今年義務化されるHACCP

HACCPと聞いて、どのくらいの人が知っているのでしょうか? 

www.hoikuenchouri.work

 

大手の食品製造に携わっている人や、給食関係の仕事をしている人であれば知っている人も多いと思いますが、個人で飲食店を経営されている人でも「知らない」という人も少なくないようです。

もちろん給食調理に携わることのない、保育施設の保育士は「HACCPという言葉すら知らない」人ばかりですし、給食調理員の中でも短時間勤務の調理補助の人であると、「よくわからない」ことも珍しくなかったりします。

 

では、そんな「知らない」「よくわからない」という人のみで保育園の給食を安全に提供することができるのでしょうか?

 

きちんとした知識を持つ人材が必要ですね。

 

衛生管理や食品の取り扱いの勉強も必須 

自宅の食事ではありません。

一度の多くの乳幼児が食べるものを作るのです。間違った調理法や管理で多くの子どもを危険にさらしてしまうこともあり得るのです。そうならないためにも、最低限の衛生知識や、食材の取り扱い・管理知識が必要となります。

 

となると、これらの勉強をして得ることのできる資格として、栄養士(管理含む)・調理師などが必要になりますね。

 

食育活動や乳幼児の安全な給食提供のためにも基準の変更が必要なのかもしれません

先にもあげましたが、国による保育施設での調理員の配置基準は人数によって1~3人とされており、資格は特に必要がありません。

自治体によっては『栄養士を置くように』と通達している所もありますが、給食調理員=誰でもできる仕事というイメージである人も少なくないようです。

かつて私も、友人に仕事の話をしたときに、「ああ、給食のおばちゃんね。」と軽く言われてしまったことがあります。

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 ですが、実際にはそんな気楽な仕事ではなく、乳幼児が安心して食べることのできる給食の提供はもちろん、献立についての話し合い、使用食材の確認、離乳食の調理、離乳食使用食材の確認、アレルギー児の対応、食育活動の進め方などなどやらなくてはならないことがた~くさんあるのです。

 

1歩間違えたら『食中毒』の危険もあるため、給食職員の最低限の知識は必要であると感じます。

 

では、どうやって最低限の知識を計るのか

乳幼児相手の調理です。栄養士・調理師の資格を必須にするくらいでも良いと感じます。あるいは、面接時に筆記試験を設けることも有効ではないかと思います。

 

 

さいごに

今回は、知識と責任を持って仕事をしているのに、どうしても甘く見られがちな給食職員の心の声と、思うことを書いてみました。

時代の流れによって、給食職員は給食を作るだけの人ではなくなりました。ですが、周りの目はまだまだ給食を作るだけの人という視線であると感じています。

 

給食職員に食育活動や衛生管理など求めることが多くなっている割には、一向に給食職員の立場を見直してくれようとはしていません💦

ですので、いつまでたっても「給食のおばちゃん」であって、「給食の先生」と思われづらいと感じるのです。