感染症対策に配慮した食育活動とはどのようなものがあるのか?

給食室はこんなところ

感染症が流行り、私が勤務している保育園でも「子どもの安全に配慮した食育活動の在り方」を考えています。

「食育活動」と言うと真っ先に思いつくのは「クッキング」である人は結構多いのではないでしょうか?

食材に直接触れて学ぶことができる「クッキング」も食育活動においてはとても良いことです。

しかし、感染症の流行時に子ども同士が接触しやすくなることなどは、「できることなら控えたい」と思う季節もあります。
そこで、冬季など比較的感染症が流行しやすい季節にはどのような食育活動を行うと良いのかも、考えることにしました。

食育活動の代表とも言える「クッキング」を行わずして「食育活動」を行うにはどのようにしていくのでしょう?

行事食を子どもたちに伝え、日本の食文化を大切にする

こどもたちに「食」を通じて「日本(や世界)の文化」を教えていくことも私たち給食職員の務めです。もちろんこれまでも「行事食の提供」は行ってきました。

  • 1月 松風焼(お節料理の一品)
  • 2月 節分ごはん
  • 3月 ひな祭り給食・お別れ給食(年長児向け)
  • 5月 端午の節句給食
  • 6月 あじさいゼリー
  • 9月・10月 お月見給食
  • 10月 ハロウィン給食
  • 12月 クリスマス給食

ほぼ毎月にわたって「行事食」を作ってきています。

しかし、ただ作って提供するだけでは子どもたちには「かわいい給食・おいしい給食」ということしか伝わりません。

そこで、行事食の日にはなるべく子どもたちの食事の様子を見に行ったり、見に行けなかった時にはあとからでも子どもたちに直接声掛けをして感想を聞いたり、行事食の意味についてのお話をするように心がけています。

生き物には骨があることを教える

大人が聞くと「当たり前でしょ」と思うことでも子どもにとっては大発見であることも多いです。

保育園では基本的には園児の安全を配慮して、魚や肉は専門業者が処理してくれた「骨抜きのもの」を使用しています。しかしながら、魚も肉も種類や個体差があり、専門業者でさえ見落としてしまう小骨がとりきれていないことも実際にあります。

もちろん、その都度に業者への連絡と再発防止のお願いはしているのですが、私の勤務する保育園では「子どもたちへの注意喚起」も同時におこなっています。

「今日はお魚だから骨があるかもしれません。気を付けて食べてね。」

この一言を添えることを忘れないように気を付けているのです。

2歳児以上の子は一言言っておくだけで気を付けながら食べてれくれますし、万一骨が混入していてもしっかり出してくれるようになりました。(骨もまれにしか混入していません。)

もちろん調理段階でも骨の有無については確認していますが、園の栄養士さんによると、

「生き物はみんな骨があるんだよ。ということを学ぶ機会にもなるから、これはこれで立派な食育になると思う。」

とのこと。なるほど~と思う一言でした💡(もちろん骨は見つけ次第取り除いてはいますが。)

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おやつも含めてなるべく手作りのものの提供

子どもは好奇心の塊です(笑)普段の給食でもおやつでも、自分が好きだと思った献立について、「どうやって作ったの?」「何が入っているか教えて!」など、給食やおやつの作り方や材料について子ども自らが聞きに来てくれることもしばしば。

「お母さんに作ってもらいたいから教えてほしい。」なんていう子もいます。

給食を通じて私たちも子どもたちとの会話も増え、自宅でお母さんにも同じものを作ってもらうことで子どもとお母さんとの会話やかかわりも増えます。

そして、「子どもから聞いて作ってみました。」とお母さんから話しかけられることで、お母さんと給食職員との関わりも増えたりします。

保育園での給食やおやつも手作りのものが多ければ多いほど、子どもたちが「知りたい」と思うレシピも多くなります。そういった意味でも手作りのものを提供することは大切なことなんだと実感しています。

小学校給食に向けての練習

特に年中・年長児に対しての取り組みにはなりますが、「小学校給食に向けた練習給食」にもチャレンジしていきたいなと考えています。

保育園と小学校の給食では同じ給食であっても、大きく異なる点がいくつかあります。

  • 牛乳の有無
  • 食パンの提供
  • 個々に入っているジャムや佃煮の使用
  • 給食の配膳

牛乳の有無

給食中の牛乳があるかないかは保育園によって異なるかもしれませんが…。

私の勤務先の園では、給食時はお茶の提供をしており、牛乳はおやつのみで提供しています。しかし、その牛乳も1Lパックのものを継ぎ分けたものであり、子どもたちはコップに継がれた牛乳を飲む形となっています。

しかし、近隣の小学校では給食時には牛乳が提供されており、その牛乳も200mL 入りのパックのものとなっています。そのうえ、使用後はパックを開いて洗ってから給食センターに返却することになっています。

このままでは、牛乳パックを開ける経験がないまま小学校へ入学してしまう子も出てきてしまうかもしれません。(自宅でやっている子もいるとは思いますが…。)

小学校へ行っても子どもたちが困らないように、保育園の給食を通じて少しでも経験値を増やしてあげることも食育ではないだろうか…。そんな話も栄養士さんとの間で出ているのです。

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食パンの提供

保育園の子どもたちは、パンよりもご飯の方が好きと言う子がとても多いです。

特に小さい子は、パンのモソモソする感じが苦手なようで、食べやすい甘めのロールパンですら残してしまう子もいます。

小さい子に合わせると、食べやすいロールパンの提供となることが多いのですが、小学校給食では「食パン」も出ることがあります。もちろん焼くことなくそのままの提供です。

保育園である時に試しに「食パン」で主食提供をしたところ、ロールパンに比べて「残食量」が多かったのでした。小さな子はもちろんのこと、食パンに関しては幼児クラスの子も残食が多く、このままでは「小学校給食で困ることになる」と判断する結果となりました。

給食会議での話し合いの結果、「幼児クラスに関しては月1回の食パン提供もしていきましょう」ということになりました。小学校に行った時に「給食で」困らないようにちょっとづつ慣れていってもらう意味を込めての決定でした。

個々に入っているジャムや佃煮の使用

小学校では、パンとペアで個包装のジャムがついてくることもあります。しかし家庭ではなじみのあるものではないため、使ったことがない子の方が多いのではないだろうかと思います。

おやつで個包装のウエハースを出すこともありますが、幼児組でも開けることができない子がいると保育士さんから聞いています。

そんな状況ですので、

開けたらニュルっと飛び出してくる恐れのあるジャムや佃煮は使ったとしても上手に開けることは難しいのではないだろうか…。洋服を汚してしまって困ってしまうのではないだろうか?

と心配にないってしまい、子どもたちの食の経験のために、近々ジャムや佃煮を使用してみようという話になっています。

給食の配膳

感染症対策問題もあって、なかなか思うようにはいかないところではありますが、それでも小学校では「給食当番」が存在します。

子どもたち自らが食器を運んで食事をよそってみんなに分ける仕事をこなしています。

もちろん1年生から行わなくてはならない仕事ですので、できることなら保育園にいるうちから練習はしておいた方が良いのです。

ですが、この件は担当保育士さんの意見も必要となりますので、私たちの意見だけでは「子どもたちに配膳をしてもらうかどうか」を決めることができません。

感染症のこともありますので、無理のないようにすすめて行きたいなと思っています。

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さいごに

食材に触れることも大切な食育活動の一つですが、食材に直接触れることが無くても日々の生活の中から取り入れていくことができる食育活動もあります。

感染症対策による影響もあり、これまでできていたことが簡単にできなくなってしまったという残念なこともありましたが、今までとは違う食育活動を考える良い機会にもなったかなとも感じています。

今回挙げた中には、すでに取り入れていることもありますが、まだまだこれから取り入れていこうと思っている内容もあります。給食職員、保育士さんとも相談のうえ、子どもたちにとって良い食育活動ができるようにしていきたいと思います。

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