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保育園調理師の「食」ブログ

現役保育園調理師が簡単おやつやご飯の紹介はもちろん、子どもとできる食育活動の紹介もしています。「食」にまつわることの多くを書き綴っていきます。

毎年勃発する「おでん騒動」

ちょうど今の季節、簡単においしく作ることができるおでんは食卓の定番ですね。

私の勤務している保育園では、毎年「おでん騒動」が勃発するのです。

 

 

主菜が「おでん」の場合「汁物」はつけるのかつけないのか?

おでん騒動の発端となった問題です。

 

私が勤務している保育園はいくつかの系列園があります。

その中のとある園では、毎年献立におでんが出ると必ず「汁物をつけてほしい。」と意見が出るのです。

今年も例年通り(笑)「汁物がほしい」と言われたばかりなのです。

 

しかし、おでんと言えば

  • 汁がしっかり入っている
  • 子どもは入れた汁を残すことなく飲んでしまう

ものであり、ここにさらに汁物をつけてしまうと

  • おでん・汁物・お茶でおなかがタプタプになる
  • 塩分の過剰摂取
  • 昼食後の午睡時のおねしょの心配

など、あまり良いことはないように思われました。

私個人は、「おでんに汁物は必要ない」と思っているのですが、中には「汁物が欲しい」と考えている人もいることを知る出来事だったのです。

 

なぜおでんに汁物が必要なのか?

毎年、「おでん+汁物が欲しい」と訴えてくる園になぜなのかの確認をしたところ、

  • 子どもが汁物大好きだから
  • 汁物があれば他のおかずやご飯を頑張って食べることができるから
  • 飲み込むことが大変そうだから

といった意見が出されました。

 

子どもが汁物大好き

この「おでん+汁物必須」園は、毎年同じことを言っています。

ですがここは、3年保育の園です。開園から6年目を迎えているこの園では既に初期メンバーから総替えになっています。それでも毎年「汁物好きの子」が多く入園しています。

 

言葉通り受け取るのであれば「汁物好きの子が多く暮らしている地区の保育園」ということになります。

 

でも、この解釈には少し売りがあるようにも感じます💦

 

ひとりひとりが別の家庭で育っている子たちがみんな一緒なわけはありません。もちろん何人かは「汁物好きでない子」もいるかもしれませんが、園の代表として「汁物好きな子が多い」と言ってしまっている以上、かなりの数の子が「汁物好き」であることは否定できません。…それも毎年毎年です。

 

汁物があれば食事を頑張れる

おそらく、介助する保育士さんの声掛けが

「これを食べたら汁物があるから頑張ろうね。」

となってしまっているのではないかと思います。好きなもので釣ってご飯を食べさせる…ということです。

 

飲み込みが大変そう

「子どもは汁物がないと飲み込むのに大変」

と言われても、給食サイドでは乳児に適した大きさや硬さでの給食を提供しています。通常であれば、飲み込むことが大変わけはないはずです。

 

保育士さんの食べさせ方にも問題がありそう

以上の3点をまとめると、この園では「保育士さんの食べさせ方」にも問題がある可能性があるのではないかと思われます。

  • 好きな食べ物で釣るように食べさせる
  • 汁物で流し込むように食べさせている
  • よく噛んで食べさせることを指導していない
  • 結果、「子どもは汁物好き」と思い込んでいるかもしれない

 

 

おでんに汁物は必要ないという園もある

反対に、「おでんに汁物は必要ではない」と意見する園もあります。

こちらの園での言い分は、

「おでんに汁がたっぷり入っているから必要ないのでは?」

というものでした。

まあ、私と同じ意見ですね。

 

視点か別ら考える「おでんに汁物必要」説

上では、食事の食べさせ方に焦点を当てましたが、実はもう一つ理由になりそうなことがあるのです。

 

それは、「おでん」そのものが「別料理をイメージしている」のではないか?ということです。

別料理というとおかしな表現になるかもしれませんが、

私のおでんのイメージは↓こちらです。

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大きな土鍋で一緒に煮たおでんの具を小皿に取り分けてつゆも一緒にたくさん入れて食べるスタイルのものです。

 

ところが、私が今暮らしている地域では一定数以上は↑のおでんではなく、↓こちらのおでんを連想する人がいることを知りました。

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つゆは…ありませんね。味は良くしみ込んでいそうですが、汁気は全くありません。おでんの具を使った煮物という印象です。(写真は静岡おでんという郷土料理です)

 

なるほど!!下のおでんを思い浮かべている人にとっては主菜が「おでん」であっても

「汁物」を必要としている理由がわかります。

 

暮らしている地域によっては「おでん」と言っても「同じもの」を思い浮かべるとは限らないのですね。

 

 

さいごに

毎年勃発するおでん騒動から、地域のおでん事情まで考える出来事となったわけですが、毎年保育園で提供している「おでん」は、

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↑こちらのタイプであるので、そろそろおでん騒動に終止符を打ってもらいたいなと思っている…のです。

汁は充分に入った状態で提供しているので、「別に汁物」はなくても良いのでは?と思うのですが、やっぱり「汁物が欲しい」とのことなのです。

 

今年で6年目となるおでん騒動ですが、いつ解決するのでしょうか?まだわかりません。